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アスペクト比40対1対応のめっき装置が登場、AIサーバー基板の微細な穴の内側に銅をつける競争が本格化

アスペクト比40対1対応のめっき装置が登場、AIサーバー基板の微細な穴の内側に銅をつける競争が本格化のイメージ

本ページは公開情報を整理した業界レポートであり、特定の加工業者・薬品・設備の推奨ではありません。

ニュースの概要

中国のMingyi Electronicsが、AIサーバー向けの高多層プリント基板やIC基板を対象にした、ガントリー式の電気めっき装置を発売した。穴の深さが直径の40倍以上となる高アスペクト比の基板に対応する点が特徴で、銅の供給方式としてリン添加銅ボールと不溶性アノードの両方を使える。顧客の仕様に合わせた改造にも応じる。同社によれば、複数の大手サーバー基板メーカーによる技術評価をすでに通過し、受注も得ている。現在は生産と納入の段階に進んでいるという。AI向け基板の高性能化に合わせ、製造装置にもより厳しい水準が求められ始めたことを示す動きだ。

引用元: AIサーバー・IC基板向け、アスペクト比40対1以上に対応する電気めっき装置を発売(Shanghai Metals Market)

分析・見解

穴の深さが直径の40倍になると何が難しいのか

アスペクト比とは、穴の深さを穴の直径で割った値である。40対1なら、直径0.1mmの穴で深さ4mmにあたる。細く長い筒の内側に、むらなく銅の膜をつける作業だと考えるとよい。めっき液は穴の入り口では入れ替わるが、奥では動きにくい。その結果、入り口ばかり厚くなり、奥が薄くなりやすい。奥の膜が薄いと、熱や電流の負荷で断線する恐れが出てくる。

AIサーバーの基板が厚く、層も多くなる背景には、GPUへの大電力供給と高速信号の両立がある。層を重ねれば板は厚くなる。一方で部品を詰め込むには穴を細くしたい。この二つの要求が、アスペクト比を押し上げている。従来は10対1から20対1程度が一つの目安とされることが多く、40対1はその倍にあたる水準だ。

装置の違いは、液の流れと電極の安定性に表れる

今回の装置は、リン添加銅ボールと不溶性アノードの両方式を使える。前者は銅の電極が少しずつ溶けて銅を補う従来型である。後者は電極そのものが溶けない方式で、電極と基板の距離が変わらないため、電流の分布を安定させやすい。ただし不溶性の場合は、液中の銅イオンを別の設備で補う必要がある。

両方式を選べることは、顧客が持つ液の管理ノウハウに合わせやすいという意味で実務的な強みだ。ガントリー式(=門型の搬送機が基板を各槽へ運ぶ方式)は、板の厚さや大きさが違う品種を切り替えやすい。少量多品種になりがちなAI向け基板と相性がよい。

中国の装置メーカーが狙う輸入装置の置き換え

めっき装置は、長く日本、欧州、台湾の企業が強みを持つ分野だった。ところがAIサーバー向け基板の需要が膨らみ、中国国内でも基板工場の増設が続いている。装置を国内で調達できれば、納期も保守も早くなる。Mingyiの発売は、この流れに乗ったものと読める。

注目したいのは、大手基板メーカーによる技術評価を経ている点だ。試作機の披露ではなく、量産ラインに近い条件で審査を通ったことを示唆する。ただし、40対1は「対応できる」という仕様値である。歩留まりや長期の安定性は公表されていない。この部分は割り引いて見るべきだろう。

勝敗を分けるのは、地味な工程の精度かもしれない

AIの性能競争というと、チップの話ばかりが注目される。しかし、そのチップに電気と信号を届ける基板の穴が不良なら、高価なGPUも本来の力を出せない。穴の内側に銅をつける工程は、目立たないが全体の歩留まりを左右する。

似た課題は半導体の後工程にもある。チップを縦につなぐシリコン貫通電極でも、深く細い穴へのめっきが難所だ。今後ガラスを芯材にした基板などが広がれば、穴の形状はさらに厳しくなる。装置の競争は、実のところ液体の流れをどう設計するかの競争になっていくだろう。

ビジネスへの影響

調達担当が仕様値の先に確認したい三つの点

40対1という数字は、条件が書かれて初めて意味を持つ。板厚、穴径、めっき時間、穴の入り口と奥の膜厚の比を、自社の基板で測ってもらうことが第一歩である。カタログ値と量産値は別物だ。

次に、保守と部品の供給体制を確かめたい。海外装置では、故障時に技術者が来るまでの日数が稼働率を左右する。三つ目は、めっき液の管理との相性だ。不溶性アノードへ切り替えるなら、銅イオンを補う設備や添加剤の再調整が要る。装置単体ではなく、ライン全体で見積もる必要がある。

基板メーカーは装置導入を二段構えで進める

すべてのラインを最高仕様に置き換える必要はない。高アスペクト比の基板は単価が高い一方で、受注量が読みにくい。そこでまず一ラインだけ高仕様機を入れ、評価用の基板を流して条件を固める進め方が現実的だ。

同時に、既存装置との比較データを残しておきたい。後の増設時に、価格や納期を交渉する材料になる。

装置メーカーと投資家が見ておく競争の変化

中国メーカーが顧客評価を通過した事実は、価格だけで勝負する段階を抜けつつあることを示す。日本や欧州の装置メーカーには、液の流れの解析や長期の安定稼働といった、数字に出にくい価値をどう示すかが問われる。

一方、中国製を使う側は、輸出管理や部品の入手、政治状況の変化に備え、代替の調達先を一社は確保しておくとよい。投資家は、受注の発表そのものより、納入後に追加の発注があるかどうかを見たほうが、装置の実力を測りやすい。

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